月別アーカイブ: 2017年1月

この本は、お金についてのバイブルだと思う。/ 心屋仁之助『一生お金に困らない生き方』

心屋仁之助氏の『一生お金に困らない生き方』を再読した。

出会いと私の経験

心屋仁之助の本を読んだのは、これが初めてだ。しかも、コンビニで買った。

いつもは立ち寄らないコンビニの雑誌コーナーで、ずばりタイトルが目に飛び込んできた。

「これを買うのかー」と、自分の直感に戸惑いながら、しかし直感に従って買った。もっとも心屋さんのブログはそのときすでに読んではいた。

それがだいたい一年半前の夏で、それから収入は多少なりとも増えたが、数字以上に、根本的なところにある不安が薄くなったのが大きい。あまり意識していなかったが、お金を使うことに対する恐怖は以前に比べると格段に減ったと思う。

最重要ポイント

お金の問題の最重要ポイントは、「存在給」だ。存在給とは、ただ存在するだけで、自分が受け取っていいと自分に許可している金額のこと。自分で許可する、ということからわかるように、存在給は自分で決めるものだ。

「存在給」に至る議論をざっくりまとめると、次のようになる。

  • お金によって得たいと思っているのは、安心感や自由という豊かさだ。
  • それは、お金によっては得られない。(例:いくら稼いでも不安なお金持ち)
  • 安心や自由は自分で自分に許可すること、いわば自信によって得られるものだ。

つまり、ここで話は逆になる。

「安心や自由を手に入れるために、お金を手に入れよう。」

から

「お金(=豊かさ)を手に入れるために、安心と自由を自分に許可しよう。」

へと。

この、自分に許可する度合いがそのまま、存在給へとつながる。どれくらい安心していていいか、自由でいていいかを人は無意識に自分に対し、制限している。そしてその価値が低いから、=不安だから、お金を得ようとがんばっている。

つまり、「がんばらない自分の価値」=存在給なのだ。

とてもわかりやすく、かわいいイラストを引用させていただく。

th_IMG_20170131_204248

もしちょっとでもひっかかるなら、がんばらない自分の価値を自分でどの程度に見積もっているか、そしてそれを上げてみるとしたら? なんてことを考えてみてほしい。おもしろいことが起きるかもしれない。

心屋本の中でも、特におすすめ

今回再読して、やはりこの本は素晴らしいなと思った。心屋さんは本をたくさん出している。だいたい初期の頃のほうが、文章量が多く、伝えようという意欲にあふれている(笑)。でも、濃ければいいかというと、そうとも限らない。私が一番好きなのは、この『一生お金に困らない生き方』だ。ゆるさとまじめさがちょうどいい。出汁のうまさがちょうどよく感じられる。このシリーズは、イラストもすごくかわいいのだ。

こちらもおすすめです。

以前すごくざっくりと心屋本を紹介した記事

changelog.biz

 

今日のスタンプ:全身でよろこびを表現する猫たち

th_38

こちらに入ってます。

 

 

何を逃れて、何を求めて / ステファン・ボディアン『過去にも未来にもとらわれない生き方』or『今、目覚める』

何度目かの再読。忘れっぽいせいもあるが特にこういった本は、読んでも数ヶ月すると内容をすっかり忘れてしまう。だから読み返すときには毎回とても新鮮だ。

とはいえ読後感の記憶くらいはあって、以前はもっと難解に感じていたように思うし、固い壁にぶつかるようなところがあった。それが今回はなんだか普通の本として普通に読むことができた。普通の本として読む、というのもなんだかよくわからない表現だが、この本に何かを求めていないせいなのかもしれない。何かというのは、やはり「目覚め」のことだ。今回はただこうしてブログ用の記事を書くために読んだ。それがかえってよかったのかもしれない(笑)。

目覚めの段階

この本は目覚めの段階を丁寧に解説している。それぞれの段階で起こりやすいつまづきや回り道について親切に説く。各章の終わりにはちょっとしたワークのようなものもある。「WAKE UP NOW」という原題からして、これまでの私のように「目覚め」を期待してしまうのも仕方がない。でも、ここで説かれる「目覚めの段階」とは、「目覚めという目標を達成するまでの道のり」では決してない。目覚めが、いうなれば「染み込んでいく」過程で、起こることや見えてくるものを記述している。こうした本を繰り返し読むことで理解が深まっていくのと似ている。初めはペンキを塗り重ねるイメージが浮かんだが、それよりも、ベールが一枚ずつ剥がれていく、あるいは空を覆っていた雲が流れていく、といったほうが実情に近いのかもしれない。

序章で示された区分けに従い、印象的だった文をいくつか紹介する。

探究 1〜5章

心は瞑想することはできない(…)心が達成する状態は(…)あなたの本質が持つ真の「静けさ」とは関係がないのです。

心は、それ自身と戦うことが好きです。(…)心はほうっておかれると自然に落ち着いてきます。

分量にして半分以上が、「探究」段階に当てられている。私たちが求めているもの、逃れようとしているもの、そのためにとる手段。それらを明らかにしながら、そこに含まれる矛盾を暴く。多くのスピリチュアル指導者のエピソードや禅の公案が紹介される。

目覚め 6章

目覚めは突然すべての努力を手放すときに起こります。(…)突然すべての希望を捨てる、ということです。

すべては、自我も含めて、あるがままに完全なのです。たとえ自我がそうではないと言い張っても。

目覚めに関する誤解を具体例をあげて説く。「悟った人になる」というよく言われるけれど避けることが難しい思い込みや、達成または自我の破壊、あるいは完全性としての目覚めなどが誤解として取り上げられている。「え、目覚めってそういうものじゃないの? 」という方は、ぜひここで示されるの7つの誤解に対する解答を読んでほしい。

深まりと明確化 7章

「(…)深いところで私は自分の本性を知っています。しかし心の作り出す思考や物語は非常に強く、いつも忘れてしまいます」
「究極の忘却」(…)この忘却は、心のさまざまな機能の副産物などではなく、実は心の主たる仕事なのです。

上記は著者の師であるジーン・クラインとの対話だ。ジーンはこれを「究極の忘却」と呼んだという。無限の平安としての本性を忘れることが心の主たる仕事、というのはびっくりだが、なるほどと納得して笑ってしまう。目覚めのあとでも、心はなんとか主導権を握り続けようと奮闘する。それに対する対処法が丁寧に書かれている。

体現 8, 9章

目覚めを体現する道は、一瞬一瞬を目覚めの認識で生きることに尽きます。

すべてはあるがままに完全であるけれど、雨漏りすれば屋根を直す

真実に対するやむことのないコミットメントが、スピリチュアルな体現のプロセスに炎を燃やし続けている

それは「私のさびしさ」ではありません。「さびしさ」そのものです。それは「私の怒り」ではありません。「怒り」そのものです。

一瞬で起こる目覚めに対し、体現のプロセスは一生かかる場合もあると著者はいう。これをどう受け止めたらいいだろう。目覚めるということは、雨漏りしない屋根を手に入れることではないのか? どうやらそうではないらしい。「大事なことは、あなたの困難な感情を抱擁すること」だという。やれやれ(笑)。

目覚めて生きる 10章

「あなたが生きる」という言葉は、余計なのです。単一の「生命」があなたや、石、小鳥、川や木々などを通して生きているということなのです。

「私の意志ではなく、あなたの意志がなされますように」

この章でも体現化のプロセスが大事だと著者は強調する。はじめに書いたように、この本で説かれる「目覚めの段階」は、目覚めというゴールを達成するための段階ではない。目覚めをゴールに設定し、目覚めさえすればすべてOKだ、という幻想を持つことは、目覚めとは何の関係もない。心によるおなじみの支配だ。

さて、何を求めて、何から逃れて、探究が始まり、その探究はそれ自体どんな矛盾をはらんでいたのだっけ。振り出しに戻るようにして、私たちはありのままの自分に出会うのだろう、たぶん。

親切な本

初めて読んだときには著者が怒っているように感じた。そこまでいかなくても最近まで、この本からある種の厳しさを感じていた。それがいつのまにかなくなっていた。それよりも親切さや丁寧な心配りが心に残る。つまづきやすいポイント、言いかえれば私たちがごまかしてしまいたくなる痛いところを、見逃さずにしっかりと拾い上げる。これは厳しさではなくて、粘り強い親切さだ。

※今回読み返してトニー・パーソンズの公園でのエピソードが書かれていることに気がついた(162頁)。

※『過去にも未来にもとらわれない生き方』はもう絶版になっているが、別の出版社から、別の訳者によって『今、目覚める』というタイトルで出版されている。そちらのタイトルは、原題のWAKE UP NOWに即したものになっている。

今日のスタンプ:壁ドンで帰還を迎える犬

th_08


store.line.me

苦しまなくていい理由 /「スーパーマインド」V・ハワード

なぜ苦しみは不要なのか

先日紹介した『なぜあなたは我慢するのか』の続編にあたる『スーパーマインド』。これまでこの二冊はほとんど同じことを書いていると思っていたが、今回読み返してみて、そうではないことに気づいた。

『なぜあなたは…』の方は、主として「苦しみ不要論」だ。あなたが知らなければならないと思っているものをあなたは知らなくていいのだ、なんとかしなければならないと考えているかもしれないがしなくていいのだ、わからないままでいい、と説く。

そして『スーパーマインド』は、それがなぜかを明らかにする。なぜ苦しみは不要なのか。

ハワードは次のように書く。

一、偽りの自己感覚を失くして偽りの欲望を失くせよ。
二、偽りの欲望を失くして偽りの行動を失くせよ。
三、偽りの行動を失くして偽りの問題を失くせよ。
四、偽りの問題を失くして偽りの悩みを失くせよ。

苦しみは、もとをたどれば偽りの自己感覚に由来する。

「スーパーマインド」の副題は「あなたは本当のあなたなのか」だ。

だから、私たちがすべきなのは「偽りの自己感覚」を失くすことに尽きる。

「翻訳」しないこと

本当の自分になるために何かをする必要はない。本当の自己が生きることを妨げている何かをやめればいい。

あなたは独りだ。何も起こらない。電話は鳴らないし、郵便配達夫は素通りしてしまう。あなた自身だけがあなたの仲間でいる。さてここで、この独りきりだという状態を、あなたの心が不注意にそうしてしまわないかぎり、自動的に「孤独」と翻訳することはできない。

「あなたの心が不注意にそうしてしまわないかぎり」苦しみは生まれようがない。そして、そのようなものを生み出す機械としてのわたしの心の動きは、わたしではない。

「翻訳」するのをやめて、あらゆる出来事をただ見ることだ。しかしそんなことはできない。そう心は騒ぎ出す。もしただ見ることができないのならば、せめてそんな心の動きに一生けんめいに取り組まないことだ。

安心と満足をみいだす一つの方法は、安心と満足でないものはすべて、一貫してやり過ごしてしまうことだ。

幸福を求めない。

本書が一貫して提案するのは、とてもシンプルな、けれど私たちがずっと後回しにして強烈な生き方だ。それは、一言で言い表せる。

これ以上幸福など追求しないことだ

とはいえ、もう少し長く書いてくれている箇所もみてみよう。

わたしがわたしの生を生きるための足掻きをやめて、生をしてわたしのために生きるにまかせたらどんな気持ちがするだろうか? 幸福になりたい、評判のよい人間になりたい、賢くなりたいとだけ努める、苦痛に満ちた日常の一切を棄てたらどうなるだろうか? 何が起こってくるだろうか?

勝利を求めることをやめ、敗北を完全に受け入れた時、勝利も敗北も存在しなかったことに気づく。

さて、次のような一日を「あなた」はどう感じるだろうか。「スーパーマインド」、つまり「本当のわたし」を求める愉快が、ここに詰まっている。

あなたの一日は馬鹿らしくもないし、意義深くもない。生の一日はただそれがあるとおりにあるだけである。

 

 

苦しみを終わらせる方法 /『なぜあなたは我慢するのか』V・ハワード

目覚めへと誘い、導く本

『なぜあなたは我慢するのか』ちょっと衝撃的なタイトルだ。でも原題は “ESOTERIC MIND POWER”。ESOTERICをどう訳すべきかわからないが、本文には「秘境的」と出てくる。「秘境的精神力」という感じか。とはいえ勝手な邦題ではない。本の書き出しと締めくくりの言葉がこの問いで始まっている。

あなたはなぜ我慢しているのです? (…)いったいなぜ、あなたを煩わせているものと歩調を合せようとするのです?

作者のヴァーノン・ハワードはアメリカの「光明思想家」だそうだ(本の扉にそう書いてある)。昭和55年に翻訳が出て、私の手元にあるのが平成8年の19版だ。今はもっと版を重ねていることだろう。ロングセラーだ。続編に『スーパーマインド』がある。構成も内容もかなり似通っているが、『スーパーマインド』の方が少し過激さが増しているかもしれない。

内容は目覚めへの誘い、目覚めへの道案内だ。彼の基本方針はこうだ。恐れや迷いに対しては解決策を与えない。答えを求める問いには答えない。恐れや迷い、問いそのものを無効化する。たくさんの例や哲学者の言葉などを引いて、断定的かつ魅力的な言葉で説く。
[adsense]

一切の問題を解消する

不確実性

たとえば私たちは不確実性を恐れて、未来を確実なものにしようと必死になって行動している。お金を貯めたり、生涯のパートナーを得ることが重要だと感じるのは、確実でありたいと願うためだろう。確実ならば、安心できるからだ。でも実際は、安心とはそのようなものではない。問題は不確実性にはない。

不確実性を恐れてはならない。不確実性に恐れるべきものはなにもない。恐怖は、人間が彼自身の言葉に従って確実でありたいと望むことから起こる。しかしそれらの言葉は間違っている。千の不確実性を持ちながら一の不安もないということも可能である。

安心は不確実性の排除にはないということは、簡単に理解できる。不確実性が入り込んでくる可能性はいつでもあり、その不安はいつまでも消えないからだ。ならば、不確実性を初めから受け入れてしまうことだ。

到達地点

あるいは私たちは一生けんめいにどこかへ到達しようとしている。よりよい自分になりたい、人生をよいものにしたい、そんな強迫観念に近い欲求があり、だからここにいてはいけないと思っている。目的地を定め、自分をコントロールして歩まなければならない、と。

どこへ行くのか、など知らなくともよい。いやほんとうのところ、正しく真直ぐに行くにはどこに行くかなど一切考えてはならない。無心でいなければならない。足元を照らすのに古びたランプを使おうとしてはならない。古びたランプは百度も千度もあなたをこれまで導き損なったのである。「私はどこへ行くのかわからない、だがひとつだけわかる─わたしは古い道へは戻らないのだ」と、そう自分自身に言うのだ

古いランプは何度も私たちを「導き損なった」ことを思い出そう。そのランプは私たちに「人生」を見せてきた。私たちはそうして見る自分の「人生」をよくしたい、と思いこんできた。わたしたちはいい加減うんざりしなければならない。抜本的な解決が必要なのだ。人生に外側なんてない。(参考  http://changelog.biz/tadasonomama/

問題

ほんとうのところ、われわれは、われわれの問題に対立するから、われわれの問題をもちつづけるのである。孤独感はこれに対立しなければ、存在しなくなる。将来への不安と戦うことをやめれば、もはやかかる不安はなくなる。「悪しきものに抵抗(てむか)うな」

自分で「これは問題だ」と問題設定した問題を解決しようと躍起になり、人は不幸になる。そんなことをする必要は初めからない。問題設定をやめてしまえばいい。不確実性を受け入れ、どこへ行くのかを知る必要がないとわかったいま、そもそも問題はないはずだ。何も考えず、悩まず、やることをやるだけだ。

「私は答えを知らないのだ」

私がこの本で最も好きなのは次の箇所だ。情景が目に浮かび、詩のようだと感じる。

なにかについて答えが欲しいときはいつも街のざわめきへは耳を閉じ、そこから離れてじっとして、あなたのその分からぬものと一緒にいればよい。そしてただ静かに、「わたしは答えを知らないのだ」とだけ悟ればよい。それ以上のことをしてはいけない。

人は自分自身で苦しみをつくり、問題に問題を重ね、答えと救いを求める。自作自演に真面目につきあうのをやめたらどうなるというのか。ことはあまりにも、単純だ。

それなのに、なぜあなたは我慢するのか。

長期に渡って、繰り返し読みたい本だ。

 

 

愛するということはだいぶ狂気に似ているということがわかる素晴らしいドラマ。(「愛するということ」(’93))

「スーパーサラリーマン左江内氏」のキョンキョンの無駄遣いについて書いたら、いつのまにか93年のドラマ「愛するということ」を見ることになり、見始めたら止まらず、最後まで見続けて回によっては繰り返し見た。

このドラマ、中学時代にはまって見ていた。結局人間の精神性は変わらないのだろうか。
ドラマの主題歌である小泉今日子の「優しい雨」と、同時期に発売された工藤静香の「慟哭」のどちらを買おうか、当時真剣に迷ったのを覚えている。結局「慟哭」を買った。(おい)

だいたいのストーリー

(以下、役名ではなく役者名で書きます。)
緒形直人が小泉今日子に一目惚れして追いかけ回し、一日目でプロポーズする。小泉今日子は婚約者もおり、ものすごく迷惑だったがそのあまりにまっすぐな思いや誠実さやらに触れて徐々に惹かれていき、なんと8日で両思いとなる……のだがしかし!!

 

という話。二人が出会ってからの10日と、1年後を書いている。よくもまあ、11話をこれだけシンプルなストーリーで乗り切ったなあと思う。ほとんど二人の心の揺れだけを描いて、それでいてすごく見ごたえがある。

周りの人が言うセリフや出来事は全部、二人が置かれた状況に対するヒントとして存在する。でもわざとらしくない。きっちりと計算された脚本で、ああ、プロの仕事だなあと思う。昔のTBSドラマの落ち着いた職人の仕事という感じだ。

「愛するということ」はストーカードラマか

このドラマは今なら確実にストーカー事案だとよく言われる。まあそうだろう。一目惚れして、好きだ好きだと追いかけて、家までついていく。一応同じビルに勤める素性のはっきりした人とはいえ、「話聞いてくれ、気持ち聞かせてくれ、話したいんだ」と自分の思いをひたすらぶつけられたら怖い。「警察呼ぶわよ!」そう言いながらキョンキョンは徐々に惹かれていく。惹かれていく要素はちゃんとある。クレイジーなまでにまっすぐ愛情をぶつけてくるが、それ以外のところでは優しかったり、誠実だったりして、傷つけるようなこともしない。小泉今日子の親に殴られたりしてもちゃんとこらえるし、他の人に対してもとても誠実だと感じさせる。

ただいまだとこのままのキャラでは作らないだろう。少なくとも地上波の連ドラでは。もう少し常識人にしてしまうと思う。あるいは過剰な善人とか馬鹿っぽいキャラにしてしまうかもしれない。

出会って一日目で「ちゃんと話聞いてくれよ」と家までついていった緒形直人が、行きがかり上お父さんとお酒を飲んだ帰りに(この光景を目の当たりにしてぎょっとするキョンキョンの演技が素晴らしい)、深夜の小学校のグラウンドに幸せそうに仰向けになっている。ハンカチを返そうと追いかけてきたキョンキョンに、
「君が通ってた小学校だろう。君は僕が思ってたとおりの人だった」
とキラキラした目でいうのはすごく怖い。怖いけどこれを消すとキャラとして全然おもしろくない。
(その前にキョンキョンが壊れたフェンスでブラウスの肩のところを破いてしまうのだけど、キョンキョンの心に穴が空いてスキができるといった、脚本のベタな示唆がいい。)
緒形直人は本当にピュアにこういうことを言う。
「思い出してたんだ。(子供の頃の)君がボールを取りに池に飛び込んだって話(←お父さんから聞かされた)。僕は26になって今日初めて飛び込んだんだ」

結局のところ、こういうまっすぐなピュアさを持って人を愛する人は、狂気じみた行為にも出るのであって、狂気じみた振る舞いだけをカットしたらリアリティは失われて平板になる。

ケータイがない時代

93年、普通のサラリーマンやOLはケータイを持っていなかった。ポケベルも出てこない。待ち合わせ場所でひたすら待つ。偶然会う、待ちつづけて会う(待ち合わせ場所や待ち伏せで)、そして終電を逃す。このドラマで二人がやっているのはこればっかり!

印象的なのは2話目で緒形直人が土砂降りの中待ち続けた日比谷シティ。

ところでなんとドラマを見ていた翌日に、日比谷シティを通りかかるといううれしい偶然が起こった。日比谷シティ全然変わってない。

 

f:id:nemotonemo:20170121000955j:plain

f:id:nemotonemo:20170121000956j:plain

助演が素晴らしい

さてこのドラマは脇を固める役者陣も素晴らしい。

キョンキョンの父親役の橋爪功
緒形直人の上司役の角野卓造
キョンキョンの妹役の島崎和歌子

上の二人がうまいのはもちろんのこと、島崎和歌子がKYON2の妹というのもいまではちょっと飲み込めない事態がおこっているわけだが、これが見事。姉に対する態度がそっけないけど温かくもある、リアルな肉親感。初期の二時間ドラマか何かでとんでもない事故レベルの大根演技を見たことがあったので意外だった。わっこさんがこのあとドラマで活躍してないのが不思議なレベル。でもこの妹はだいたい居間でお菓子食べたり、父親に文句言ったりしているので、ほぼ素なのかも。

今みたいに脇を固める役者に(一般人からの)スポットライトが当たる時代ではなかったと思うが、角野卓造や橋爪功といった俳優が屋台骨として日本のドラマを支えてきたんだと感じる。ドラマ全体に深いコクとほのぼのした笑いを加えている。

最後に

運命という外在的な指標に頼っているふりをしているだけで、愛するということはそれが真であるかどうかは自己確信のみに依存するという意味で狂気にとてもよく似ている。「人を好きになるってことがどういうことかわかったの!」とキョンキョンは叫び、狂気の沼に足を踏み入れるかのようだ。あるいは「あなたに好きって言われたから好きになったわけじゃない」とキョンキョンは言う。誰かを愛するという物語の、すさまじい自己完結性。そして二人が踏み入ったのはまったく別の狂気じみた何かなのに、なぜか底でつながっているように感じさせる。

というわけで90年代前半の名作ドラマです。素晴らしい。

今日悟ったこと

島崎和歌子、名女優説。

 

名曲です。

優しい雨

優しい雨

優しい雨

優しい雨

多読・速読は武器になる! 5ステップでできるアウトプットのための速読術

多読は武器になる。

書評はブログでも人気ジャンル。コンスタントに書評記事を書くには、何よりもまず本を読むことが必須。もし一日一冊読めれば、ブロガーとしてかなりの強みになる。もちろんブロガーだけではなく、大量の情報のインプットは、ビジネスでも学問でも大きな武器になることは間違いない。

とはいえ、時間は無限ではない。私も、書評記事を書こう書こうと思いながら日記記事よりハードルが高く、つい後回しにしてしまっているのが現実。

必要なのは、アウトプットを前提としたインプット

必要なのは単なる速読ではない。自分が必要としている情報を効率的に把握し、次のステップへスムーズにつながる読書だ。ブロガーなら書評ブログを書くことを前提としたインプットが求められる。

 

『あなたもいままでの10倍速く本が読める』再入門

そこで本棚に眠っていた『あなたもいままでの10倍速く本が読める』を再読した。5年ほど前に読み、当時はこの方法でかなりの本を読んだ。読書に対する感覚は大きく変化したが、細部の方法は習慣化されずに抜け落ちてしまっていたことがわかった。

どのような本か

一言で言うと、読書の概念を覆す本。ふつうの読書が直線的で、積み上げ式な理解だとすると、フォトリーディングは全体的で、マッピングするように理解していく。不完全な読みを恐れながら行う完璧主義の重苦しい読書から脱出できる。フォトリーディングは初めから不完全な読書だ。冷静に考えてみれば、本のすべてを理解する必要はない。自分にとって必要なことを知ることができればいいのだ。完璧主義はむしろ害。とりあえず、インプットして、自分の脳にどこが大事か聞いてみる。アウトプットを前提とするこの方法は合理的だ。

有名人の経験者

有名人にもフォトリーディング経験者は豊富だ。本書の監訳者でビジネス書作家の神田昌典はもちろん、勝間和代もフォトリーディングを習得し大きな効果を実感している。ホリエモンもこの本由来かはともかく速読術を習得している様子。

フォトリーディングのイメージ

速読術やフォトリーディングというと、次々にページをめくって「はい読了」というセンセーショナルな部分に注目が集まることが多い。実際、フォトリーディングは1ページ1秒でページ全体の視覚情報を頭に入れていく読書の手法。

でも、それだけではない。ポイントとなるのはフォトリーディングの前に行う準備、プレビュー、そして後に行うアクティベーションだ。

フォトリーディングの手順

  1. 準備:まずは精神と環境を整える。フォトリーディングは集中とリラックスを必要とする。「みかん集中法」(後頭部の斜め上にイメージのみかんを置いて、そこに意識を持っていく)などがユニーク。
  2. プレビュー:本は本文からいきなり読み始めないこと!表紙や帯の文言、目次や全体の構成を確認する。本によって項目立ての仕方や図版の入れ方、コラムなどがある場合がある。そういう特徴をざっくりつかむ。
    パラパラとめくりながら疑問点やキーワードとなる言葉を見つける。ただしここで語の定義を探して確かめたり、疑問を解こうというモードに入らないこと。プレビューにかける時間は約5分ほど。
  3. フォトリーディング:1ページ1秒のスピードでめくっていく。その際、あらかじめ「フォトフォーカス」といわれる独特の視野をつくる。1秒で「読む」ことはできない。視覚情報を脳に直接送り込むだけ。
  4. アクティベーション(活性化):フォトリーディングのあと20分〜ひと晩あけて行うアクティベーションはフォトリーディングシステムのキモ。フォトリーディングが脳の働きを意図的に押さえていわば画像処理をしていくのに対し、アクティベーションは脳全体を使って行う。
  5. 高速リーディング:4までで不安な場合はスピーディーに読む。普通の読書に一番近い。仕上げの読書。

アクティベーションのキモ

アクティベーションについての補足。ここでは知りたいこと、求めていることを脳に対して質問する。つまり、フォトリーディングで得た情報はすでに脳の中に入っていると考え、それを引き出すトリガーとして、実際の本を使って以下を行う。

  • スーパーリーディング:スピーディーにめくっていって直観が教えてくれる「ここだ!」という箇所を見つける。
  • ディッピング:見つけた「ここだ!」という箇所に飛び込む(読む)。
  • スキタリング:アメンボのように視線を動かして、「ここだ!」を探す。
  • マインドマッピング:頭のなかにあるデータを描き出す。

応用編:シントピックリーディング

フォトリーディングをレポート作成に応用する「シントピックリーディング」もおすすめ。

目的に合わせて課題図書を複数選び、すべてをフォトリーディングして、アクティベーションする。スピーディーでシンプル、かつ強力なレポート作成技術。より詳細な手順は本書にある。課題図書が重くのしかかっている学生さんはぜひ読んでみて。

苦しい読書、さようなら。

フォトリーディングはスキル。スキルは使って磨き自分のものにしていくことが大切。違和感がなくなるまで、「使って、使って、使いまくること!」

自己啓発書としても優れた本

分厚い課題図書や書類の山、読まなければならない文字情報に私たちは日々圧倒されている。いってみれば情報に対して受け身な状態で「読まされている」。このスキルは自分が問題意識を持って取り組む主体的な読書、情報処理への転換を勧めている。

インプット能力が向上することは、学び、成長して「選択肢が増える」ことでもある。自分の可能性を広げてくれるフォトリーディング。おすすめです。

[新版]あなたもいままでの10倍速く本が読める

[新版]あなたもいままでの10倍速く本が読める

  • 作者: ポール R.シーリィ,神田昌典,井上久美
  • 出版社/メーカー: フォレスト出版
  • 発売日: 2009/11/09
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • 購入: 7人 クリック: 63回
  • この商品を含むブログ (34件) を見る