「架空OL日記」という幸福なファンタジー

エンタメ

今、私の中で第二次夏帆ブームがきていて、時間があると出演作をいろいろ見ています。そのきっかけになったのが、この「架空OL日記」でした。

録画されていたものをなんの予備知識もなく見始めたので、「え、なんなの? なんなの?」と動揺しながら、ときどき思い出したようにひとり声をあげて笑いました。

できればこれから見る人にもなんの予備知識もなく見始めてほしい(といいつつ以下内容に触れます)。おそらく深夜ドラマで放送されていたときはそういう人も多かったはずで、そういう出会いっておもしろいですね。そういえば、私に第一次夏帆ブームが来た「みんなエスパーだよ」も、テレビをつけて「なんだこれ??」となったんでした。

リアルな女子像という架空

まず、バカリズムが朝、普通の女の子っぽく起きて、顔をあらって、ナチュラルメイクをして、普通のカジュアルな女子の格好で、一軒家を出ていきます。

(バカリズムが女子であることに関する説明は一切ありません。説明されないと、それはそれで受け入れて、見慣れて、ごく自然になります。)

空はだいたい曇っていて、冬みたいで寒そうです。満員電車に苦悶の顔を浮かべ、駅に着くと職場の同僚で友達の夏帆と合流する。そして「だるいね」とか言い合いながら、職場である銀行に向かう。これがもう毎回のようにあります。

毎度毎度起こることも同じです。ロッカールームでのちょっとした、本当にちょっとした事件、仕事中のうざい上司のふるまい、使っても使わなくても昼食代を引かれるから使う社食でのひとコマ、そして仕事終わりに寄るカフェやイタリアン、中華料理店での会話。ダイエット問題とジム。悪意に満ちているようで、実は大して気にもしてない、反射的に出て延々続く上司の愚痴。ささやかだけれどたしかに偉大なOLのなかのヒーロー(コミネ様)の誕生。

凡庸な幸福感が持続する非現実

ひたすら銀行に勤めるOLの単調な日常の繰り返しがおもしろいのは、ほっこりしつつもぴりりと毒の効いた会話がおもしろいこと。平凡な女子行員たちがそれぞれしっかりキャラクターがあり、それを演じる役者たちがみな達者なこと。なんかどこからどこまでアドリブなのかなーと思うような愛しいシーンの連続で、このままサザエさんみたいに永遠に続いてほしいような気がしてきます。

日常とはかくも平和で満ち足りたものなのか、と感嘆し、いや、そうではないから架空なのだと思い直す。こんなに愛に満ちたロッカールームを私は知りません(ロッカールーム自体ほぼ知らない)。

夏帆もコミネ様を演じた臼田あさ美も華やかなのに、なんでもない日々に溶け込んでいます。映像の、ずっと曇ったグレーっぽい色合いもよかったな。そしてバカリズムすごい。結構男っぽい人だと思いますが、女子に溶け込んでいます。これって、なかなか難しいこと。でもこれができるから、脚本でOL(架空)の声を書けるわけですね。

アイキャッチは「なんだよそれ」と思って、思わず画面を撮影したシーン。このあと臼田演じるコミネ様が「どけー」とか言ってどかします。その具合が絶妙でした。

ちなみに最終回、ラストはどうでしょう。いち視聴者として言うのは簡単だけど、言います。そのオチいる!?(笑)。

※「架空OL日記」はHuluで見ることができます。

 

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