風をつかむことはできない

問題は、不幸ではなくて、幸福のほうにあるんじゃないかな。

喜びを感じるとそれを掴んでおきたくなる。絶対、二度と、手放したくないと。

自分が手に入れた。自分にはその権利がある、価値があるのだと。

 

愛はいつもその手を放す。

愛があなたを見捨てるように見えるのは、

愛があなたを掴んだことなど一度もないからだ。

 

風をつかむことはできない。

どんな突風も、掴んでそこにとどめておくことはできない。

どんな柔らかな風にも、再現性はない。

もう一度、もう一度と、どんなに努力しても願っても、どんな犠牲を払ったって、無駄だ。

風はそういうもんじゃないとわかってるけど、

すべてがそういうもんじゃないということがわからない。

それでどんな犠牲を払っても、などと奇妙なことを考えはじめる。

 

風をつかむことはできない。

でも、風はいつも吹いている。