月別アーカイブ: 2017年3月

努力すれば夢は叶う。けれど、努力するためには魔法が必要だ。/『人生の扉を開く最強のマジック』

劣悪な環境で育った少年が中学二年の夏休みに、ある女性から「マジック」を教わり、スタンフォード大学の脳外科医となるまでの話。

定番の「マジック」

この本で紹介されているマジックはスピ本を読みついできた人には特に目新しいものはないだろう。

・習慣的な瞑想によって、思考と感情が自分ではないことを知り、心を手なづけること。

・願いはすでに叶ったと思い、その喜びを深く浸ること。

基本的にはこの2つを地道に続けることだ(もうひとつ重要なものがあるが、あえて割愛する)。

スタンフォード大学医学部臨床神経外科教授

新鮮なのは、彼が実在する脳外科医である点だ。彼はスピリチュアルの「マジック」を使って、グルになったわけでも、自己啓発セミナーの講師になったわけでもない。なんだかよくわからないビジネスでお金持ちになったわけでもない。泣く子も黙る「スタンフォード大学医学部臨床神経外科教授」になったのだ。彼は夢を叶えた。願いどおり、「みんなが一目置く」人物になった。

それだけではない。彼は億万長者にすらなった。豪邸、ポルシェ、美女といった中学二年の夏にほしいと願ったものはすべて、いやそれをはるかに上回るものを手に入れた。そして、ある日すべてを失った(このあたりはの記述は『「ザ・マネーゲーム」から脱出する方法』を思い出させる)。

すべてを失い、ほしいと思ったものを手にいれた自分が決して幸福ではなかったことに気づいた彼は、いわゆる「善人」になる。思いやりに目覚め、ダライ・ラマと面会し、共感の力を医療の世界に広げる取り組みを行う(本の最終部であるこのへんは正直退屈だ)。

脳外科医が実名でスピリチュアルの力を自伝的に書いたところがおもしろい。とはいえ彼は、あとからわかったこととして神経可塑性やら交感神経がどうのといった医学的な根拠を書いていくことを忘れないのだが(このあたりは『あなたという習慣を断つ』を思い出させる)。

 

必死の努力で願いは叶う

「マジック」には力がある。そのことは信じていい。本書を読めば明らかだ。しかし、おもしろいのは「マジック」の力の現れ方だ。

願いは、身も蓋もない言い方をすれば、当人の必死の努力によって現実化していく。

瞑想だけしていても、脳外科医にはなれない。大学に入り、メディカルスクールの面接を受け、ハードな研修をこなさなければならない。ベッドの上で医者になった喜びに浸っているだけでは人間の頭を切ることはできない。 すべてが難関だ。実際、彼は懸命に努力した。

なんだ、と思うだろうか。

しかし、人はその努力ができない。まず、必死の努力の前にあるささやかなチャンスを見逃す。もし運良くそれを見つけたとしても、ちょっと壁にぶつかるとがっくりうなだれて踵を返してしまう。ドアをノックすること、ノックし続けること。それには必ず扉が開くという確信が必要だ。

彼は「マジック」、つまり瞑想と潜在意識の力によって、脳波に乱れが少ない、つまりストレスに強く感情に支配されない、極めて思い込みの強い男になった。

別の言い方をすれば、彼は、望むものを手に入れることを自分に許可し、許可しつづけ、自己確信を養った。だからこそ、誰よりも努力できたのだ。

それだけのこと

それだけのことか、という気分になる。

しかし、人は「それだけのこと」にいつも足元をすくわれるのだ。

そしてそれは、ときどき得体の知れないポジティブシンキングのように見える「引き寄せの法則」とか「潜在意識の力」の単純明快さを示しているようで、からっとした気持ちにしてくれる。

読み物としてとてもおもしろい。私はここで導入部分を読んで引き込まれ、すぐに購入した。

https://cakes.mu/posts/14493

※ちなみに彼がルースという女性から教わった時に見逃し、だからこそすべてを手に入れて失うというゲームに興じることとなった「マジック」を、私もあえて見逃している。だってこの本に書かれた刺激的なゲームはとても魅力的だから。

 

ゼロ秒思考メモを始めた。

この記事を参考に、先々週くらいからゼロ秒思考メモを始めたらすごくいい。

toricago.hatenablog.com

一日目は五十枚くらい書いたんじゃないかと思う。

頭がすっきり!という実感までは至っていないが、「あ、そうか」という気づきがたくさん出てくる。もやもやが減っているのを感じる。

考えないで書き、メモのクオリティなど気にしないところがとてもいい。あれこれ気にしないことと、ノートではなくコピー用紙を使うこととは深いつながりがあると思う。検索性はあまりよくないけれど、もし変なことを書いちゃっても捨てればいいやという心理的な軽さがある(ノートを破るのは抵抗があるし、破った事実が残る感じがする)。それから量がかさばるところがいい。吐き出したぞ、というリアリティがある。

ゼロ秒思考メモは、箇条書きで数行。余白多めでコピー用紙を贅沢に使う。緻密な思考とか、ぎちぎちに詰まった感情をびっしりとノートに書き込むよりも、感情や思考の吐露に余白が生まれる。思考は思考を導き、以下果てしなくつづくけれど、じつはそれが途切れたところにヒントや解決策、思いがけない発想がある。箇条書きでそれが生まれやすくなる。

感情をコントロールするよりも手放す(セドナ)。悩みをなんとかするよりも吐き出す(ゼロ秒思考)。そうして自分を軽くすることで、吸収力と行動力が高まるんじゃないだろうか。

ゼロ秒思考

ゼロ秒思考 頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング

ゼロ秒思考 頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング

今日のスタンプ:返事下書き中

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こちらに入ってます。

store.line.me

【買った】Anker PowerLine USB-Cケーブル。猫に噛まれても大丈夫そう。

手持ちのUSB-Cケーブルを実家に置いてきてしまったので、買うことに。
せっかくなのでしっかりしたものにしてみた。

Anker PowerLine USB-C & USB 3.0ケーブル【防弾仕様の高耐久ケブラー繊維】。

防弾仕様!

赤!

グレーのケースがついてる。(写真では黒っぽく写ってるけど)

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不穏な愛、破滅する日本ー映画『風立ちぬ』についての覚書

なぜかいま突然、宮﨑駿の「風立ちぬ」について書いてみたくなった。日本はやばいよ、という話題をツイッターなどで見るたびに、「ニッポン、ハメツする」という台詞を思い出すのだけど、会社で言ってもぽかんとされる。あの映画で一番印象に残ったのは私にはあの台詞と台詞回しなのだけど、意外と知られていない。

不穏な愛

「風立ちぬ」はすごくいい映画で、すごくいやな映画だ。男の身勝手さがすごいし、女の情熱が不穏。他人が入れない世界で、見ている者は排除されて、でも美しく、混じりけがなく、止めようがない。それがとても怖い。怖いけれど、その怖さについて他人がどうこういうものでないのは、ふたりが他人に何も求めていないからだ。ふたりはお互いにさえ、何も求めず、期待していない。ただ自分を貫き、相手をそのまま受け入れる。この映画はちょっとイヤミスみたいなところがあり、最近お気に入りの「キラー・インサイド・ミー」を思い出す。ようするに、サイコパスに惚れる女もサイコパスなんだろう。愛の不可能性というか、実在する愛は本質的に危険なものだと思わされる。まったく温和なものではない。そしてそれは美しいものでありうる。

美しい国

それとこの映画で思い出されるのは日本の景色だ。美しい国、というとあまりにもただそれだけのこと以上の意味をもたされてしまうけれど、日本らしい景色というのは多分確かにあって、瑞々しい緑とかこじんまりとした建造物のしんとした気配とか、そこにさらさら吹く風とか夕焼けとか、それは美しいもので、壊れる時には胸が痛い。大震災の描写はいかにも漫画的表現なのだけど、いつ見ても身につまされて心拍数が上がる。

演者について

声優について書くと、堀越二郎を演じたのが庵野秀明で、これは本当に秀逸だ。主演によくこんな演者を当てたものだと思う。そういう決断ができるのが作家なんだ。「牛だ」という一言が初めて見たときから忘れられない。里見菜穂子は瀧本美織が演じていて、あまり賞賛されている様子がないが、これは出色の出来だと思う。ソニー損保のCMではまったくわからなかったが、声が美しく毅然として色気がある。

そういうわけで、「風立ちぬ」は宮﨑駿のラストになりませんでした。

風立ちぬ [DVD]

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エゴの克服は映画になるか?(『リボルバー』)

これも精神世界的世界観が露骨な映画で、『バニラ・スカイ』よりも直球だし、普通に見たら馬鹿らしく思えるのではないかと思う。一応、楽しく見たが、そのあとに『キラー・インサイド・ミー』などの映画らしい映画を見るとやはりちょっとどうかと思う。

どうかと思うのはこれが教育映画だからだ。精神世界を真正面から描き、クライマックスで明白にエゴの克服を迫る。

「俺はお前だ」

「お前は俺じゃない」

「彼が仕掛けた最大のペテンは、彼は君だと君に信じ込ませること」

そういうのが好きならおもしろいし、そうじゃないとなんじゃこりゃとなる。「俺≠お前」は映画のためのアイデアのひとつ、ではない。だからオチがどうこう、というものでもない(そもそも映画のためにアイデアやストーリーが存在するという思考が間違っている)。

といって、私はこの映画をよく理解したというわけではない。
いくつか警句が出てくるがそれもよくわかっていない。

ちなみにジェイソン・ステイサムは坊主の方が100倍かっこいい。でもラストシーンではかっこよく見えてきた。それと敵役の人が何かとパンツ一丁で日焼け部屋で仁王立ちしていてダサくて印象に残る。すると、次に見たアイスマンにも似たような役で出ていた(レイ・リオッタ)。

精神世界界隈では繰り返し何十回も見た人もいるらしいから、思い出したらまた見てみよう。