苦しまなくていい理由 /「スーパーマインド」V・ハワード

なぜ苦しみは不要なのか

先日紹介した『なぜあなたは我慢するのか』の続編にあたる『スーパーマインド』。これまでこの二冊はほとんど同じことを書いていると思っていたが、今回読み返してみて、そうではないことに気づいた。

『なぜあなたは…』の方は、主として「苦しみ不要論」だ。あなたが知らなければならないと思っているものをあなたは知らなくていいのだ、なんとかしなければならないと考えているかもしれないがしなくていいのだ、わからないままでいい、と説く。

そして『スーパーマインド』は、それがなぜかを明らかにする。なぜ苦しみは不要なのか。

ハワードは次のように書く。

一、偽りの自己感覚を失くして偽りの欲望を失くせよ。
二、偽りの欲望を失くして偽りの行動を失くせよ。
三、偽りの行動を失くして偽りの問題を失くせよ。
四、偽りの問題を失くして偽りの悩みを失くせよ。

苦しみは、もとをたどれば偽りの自己感覚に由来する。

「スーパーマインド」の副題は「あなたは本当のあなたなのか」だ。

だから、私たちがすべきなのは「偽りの自己感覚」を失くすことに尽きる。

「翻訳」しないこと

本当の自分になるために何かをする必要はない。本当の自己が生きることを妨げている何かをやめればいい。

あなたは独りだ。何も起こらない。電話は鳴らないし、郵便配達夫は素通りしてしまう。あなた自身だけがあなたの仲間でいる。さてここで、この独りきりだという状態を、あなたの心が不注意にそうしてしまわないかぎり、自動的に「孤独」と翻訳することはできない。

「あなたの心が不注意にそうしてしまわないかぎり」苦しみは生まれようがない。そして、そのようなものを生み出す機械としてのわたしの心の動きは、わたしではない。

「翻訳」するのをやめて、あらゆる出来事をただ見ることだ。しかしそんなことはできない。そう心は騒ぎ出す。もしただ見ることができないのならば、せめてそんな心の動きに一生けんめいに取り組まないことだ。

安心と満足をみいだす一つの方法は、安心と満足でないものはすべて、一貫してやり過ごしてしまうことだ。

幸福を求めない。

本書が一貫して提案するのは、とてもシンプルな、けれど私たちがずっと後回しにして強烈な生き方だ。それは、一言で言い表せる。

これ以上幸福など追求しないことだ

とはいえ、もう少し長く書いてくれている箇所もみてみよう。

わたしがわたしの生を生きるための足掻きをやめて、生をしてわたしのために生きるにまかせたらどんな気持ちがするだろうか? 幸福になりたい、評判のよい人間になりたい、賢くなりたいとだけ努める、苦痛に満ちた日常の一切を棄てたらどうなるだろうか? 何が起こってくるだろうか?

勝利を求めることをやめ、敗北を完全に受け入れた時、勝利も敗北も存在しなかったことに気づく。

さて、次のような一日を「あなた」はどう感じるだろうか。「スーパーマインド」、つまり「本当のわたし」を求める愉快が、ここに詰まっている。

あなたの一日は馬鹿らしくもないし、意義深くもない。生の一日はただそれがあるとおりにあるだけである。

 

 

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