血みどろの夏帆「東京ヴァンパイアホテル」

返り血を浴びながら、ヴァンパイアたちをぶった切っていく強い夏帆を見るだけでも楽しめる作品。というかそれが楽しめないと楽しめないかもしれない作品。女がぶっ飛ばされても全然死なず何度でも復活する感じはとてもよい。

ヴァンパイアホテルでの血みどろの争いや、恐ろしいグロテスクなホテルの内側を見ると撮影の苦労がしのばれる。アマゾンプライムビデオの潤沢な予算があるとはいえ、大量の出演者たちをコントロールして、血糊をぶちまけ、アクションあり、ほぼヌードのヌルヌル祭りありで、どれほど大変なことだったろう。そのうえルーマニアロケも敢行。この制作現場には絶対関わりたくないと思わされる。過酷さが画面から血のようににじみあふれ流れ出ている。

ルーマニアでのドラキュラ化する前の夏帆とルーマニア女子との恋愛が山椒のようにぴりりと効いている。ルーマニア語を無理やり話す夏帆もよい。かなり話せている感じがする(適当)。

わけのわからないまま血糊の吹き出す勢いで全10話だかが進むストーリーの救いは、ガールミーツガールというのか、女を救うのは女というのを徹底していたところで、男はひどいしほとんど出番がない。救うのはいつも夏帆で、鬼みたいになってしまった子も、ルーマニア人の彼女も、終盤唐突に未来への希望として登場する少女も、思えば全員救ったのは夏帆だった。夏帆はやたらかっこいい役どころで、すべてもっていくのだから、園子温による夏帆への「みんなエスパーだよ」についての贖罪だったのか。(「みんなエスパーだよ」はヒロインが二人いるとかなり世界がややこしくなることを明らかにした問題作だ。ヤンキーで三河弁の夏帆はとんでもなく素晴らしいヒロインだったのに、もうひとりのハロプロ系ヒロイン真野恵里菜との比重でなにがなんなんだか役割がわからないことになっていた。)ただ、血まみれの撮影は大変だったから結果的にプラマイゼロあるいはマイナスで贖罪にはなっていないような気がする。私が夏帆なら、園子温監督の仕事は怖いので次からはよく考えると思う。冨手麻妙さんも大変だったろうけど、先に狂ってしまえ!という感じの開きなおり感で園に打ち勝つ。

Kの髪型はインテグレートというかすごくレオンのマチルダ。マチルダは日本女性にどんだけのインパクトを残しんたんだろう。遠い目。あれって、そういえば、ナタリー・ポートマンなんだよね!って、思い出してびっくりするくらいに別のものになっている。マチルダはマチルダで生きて、大人になってる気がする。それくらい存在がくっきりしている。

ところで夏帆の役名がKというのは、夏帆のKで仮名のままだったのかね。

そういえばホテルの廊下の感じがどことなくキューブリックのシャイニングみたいだった。